14th - 15th par in chap 4

[4-14]

地球の運動と太陽や月との位置関係によって引き起こされる顕著な効果がある。地球は太陽の周りを一年に一回公転するが、地球の軸は傾いているため、太陽光がどれだけ直接的にそれぞれの場所に降り注ぐかが変わる。地球が公転する中で、表面のそれぞれの部分に伝わる熱量が変わるため、気候に季節的変動が起こるのである。地球は軸の周りに24時間で1回転するが、その回転によって夜と昼が生まれ、(地球の観測者にとっては)太陽や、惑星や、星々や月が地球の周りを回っているように見える。地球の運動と、月が地球の周りで行う運動が組み合わさることによって、約28日の周期で月の満ち欠けが起こる(これは月の表面のうち太陽に照らされた側を我々が様々な角度から見ることによる)。

[4-15]

地球には様々な気候のパターンがある。それは気温、降水量、湿度、風、気圧やその他の大気現象などの異なる状態である。これらのパターンは多くの要素の相互作用によって生まれる。その基礎となるエネルギーは、太陽の放射する熱で地面や海や空気が暖められるところから来る。大気と地面や海との境界面で熱が交換することによって空気や海に異なる温度の層ができる。これらの層は上昇したり下降したり混ざり合ったりして、気流や海流を引き起こし、温暖な領域と寒冷な領域の間で熱エネルギーを移動させる。地球の自転によって風の流れや海流は曲げられたり、さらに地面の形によってゆがめられたりする。

11th - 13th par in chap 4

[4-11]
地球

我々は太陽から3番目にある近くにあるかなり小さな惑星に生きている。惑星系があるとはっきりわかっているのは太陽系だけである(似たような惑星系は宇宙には広く存在すると考えられているが)。すべての惑星や星と同じように、地球の形はほぼ球形である。これは地球を構成する物質が互いの引力によって中心に引きつけられるからである。ほとんどガスでできたずっと大きな木星型惑星とは違い、地球は大部分は岩でできており、表面の4分の3は相対的に薄い水の層で覆われており、さらに地球全体は薄い空気の層で包まれている。月や太陽の引力によって水面は盛り上がり、海岸に1日に2回の満ち潮を引き起こす。似たような盛り上がりは大気の層にも起きる。

(訳注:太陽系外惑星の存在がさまざまな間接的方法によって確認されるようになったのは90年代からです)

[4-12]

太陽系のさまざまな惑星や衛星の中で、我々の知っている限り、地球のみが生命を育むことができるようである。地球の質量による重力は十分大きく、大気を保持することを可能にしている。地球表面の物理的状況が変化したり、植物が進化したりした結果、大気の薄い膜は変化し、現在地球の生態系のために欠かせない要素となっている。大気の自然の成分の濃度が変化したり、新しい成分を加えたりすると、地球の生命システムに対して深刻な影響を及ぼす恐れがある。

[4-13]

地球の太陽からの距離が現在のものになっていることによって、生命を維持するのに十分な速さで太陽から届くエネルギーが確保されており、しかも水が沸騰したり生命に必要な分子が形成できなくなってしまうほどに速くはない。地球上に水は液体、固体、気体の形で存在する。これは惑星の中で得がたい事実である(他の惑星は太陽に近くて熱すぎるか、太陽から遠くて寒すぎるかどちらかである)。

60th - 63rd par in chap 4

[4-60]

物質は、その中にどれだけの数の自由に動ける電子あるかによって、その物質が電気力に対してどの程度反応するかが大きく変わる。極端な場合の片方はガラスやゴムのような絶縁体である。これらの物質は普通まったく電気を通さない。極端な場合のもう片方は、銅のような電気伝導体である。これらの物質は電荷が動くときにほとんど抵抗を及ぼさないので、電気力が物質の中の電荷に働くとすぐに電荷の流れが生じる(ほとんどの導線はこの2種類の極端な物質の組み合わせでできている:非常によい電気伝導体が非常によい絶縁体で包まれている)。ちなみに、非常に低い温度では、ある物質はまったく抵抗のない超伝導体になる。抵抗が小さい物質と大きい物質の間には半導体がある。半導体では、電荷の動きやすさが物質の組成や状態によって大きく変わる。これらの物質は電気信号を制御するためにトランジスタやコンピュータのチップに使われている。水には普通、電気を帯びた不純物の小さな分子(分子フラグメント)が溶けている。そういった分子は水中で動くことができるので、水はとても良い電気伝導体である。

[4-61]

磁力は電気力と非常に深い関係があり、この2つはひとつの電磁気力の違う側面と考えることができる。どちらも場を通して働くと考えられている。電荷はその周りの空間に電場を発生させ、その電場が他の電荷に力を及ぼす。磁石はその周りの空間に磁場を発生させ、その磁場が他の磁石に力を及ぼす。さらに、動いている電荷は磁場を発生させたり磁場から力を受けたりする。この効果はさまざまな自然現象の根底にある。例えば、地球のコアの中を循環している電流は、大きく広がった磁場を発生させている。この磁場はコンパスの針がさす方向を見るとわかる。

[4-62]

電気力と磁力の相互作用は多くの機械の設計の基礎にもなっている。例えば電気モーター(電流を流すと動く)、発電機(動かすと電流が流れる)、テレビのブラウン管(周期的に変動する磁場によって電荷のビームがさまざまな方向に曲げられる)などがある。もっと一般的に、電場が変動すると磁場が発生し、磁場が変動すると電場が発生する。

[4-63]

他の種類の力は原子の内部でだけ作用する。例えば、強い核力は原子核の中で粒子同士を結び付けており、電気力よりもずっと強い。これは核反応が起こるとき、相対的に大きな量のエネルギーが解放されることからもわかる。

58th - 59th par in chap 4

[4-58]
自然界の力

われわれが普通知っている2種類の力は重力と電磁気力である。

宇宙にあるすべてのものは、自分以外のすべてのものに重力を及ぼしているが、(星や惑星のように)非常に大きな質量をもつ物体が少なくとも一つあるときに初めてその効果に簡単に気づけるようになる。重力は、雨が降ることや、川がものを押し流す力や、潮の満ち引きの背後にある力である。惑星や星の物質を中心に向かって引きつけて丸くしたり、惑星を軌道にとどめたり、宇宙塵を集めて星を形成したりするのも重力である。重力は、質量のある物体の周りの空間に影響を及ぼす重力場によって引き起こされる力であると考えられている。ある物体の周りの重力場の強さは、その物体の質量に比例し、物体の中心から離れるに従って弱くなる。たとえば、地球がそれぞれの人に及ぼす引力はその人がどこにいるか(たとえば海岸にいるか、遠く離れた宇宙にいるか)によって変わる。

(訳注:スペースシャトルの中が無重力である理由と誤解されそうですね)

[4-59]

原子の間に働く電磁気力は、原子の間に働く重力に比べて圧倒的に強い。原子程度のものさしで見ると、反対の電荷を持つ陽子と電子の間の電気力が原子や分子を結び付けており、電気力はあらゆる化学反応に関係していると言える。もっと大きなものさしで見ると、電気力は固体や液体を結びつけたり、それらの物質が接するとき(例えばタオルで背中をこするときや、バットでボールを打つとき)にその間に働いたりする。我々は普段、多くの身近な力の本質が電気力であると気づくことはない。それは、物質の中にはほとんど同じ密度の正電荷負電荷があり、物質の外では互いの効果が打ち消されるからである。しかし、これらの反対の電荷のバランスが少し崩れただけで、火花が飛んだり服がまとわりついたり、稲妻が光ったりという現象を引き起こす。

9th - 10th par in chap 4

[4-9]

太陽系やその外の宇宙に関する我々の知識は増え続けている。その一部は直接観測することで得られるが、ほとんどは我々の感覚を拡張し補助するために開発されてきた観測装置を使って得られたものである。電波望遠鏡やX線望遠鏡は、宇宙からくる非常に広い範囲の情報を読み取ることができる。コンピュータによって、ますます複雑になっている重力で結合した系や核反応の計算を行い、データのパターンを見つけたり理論の帰結を導いたりすることが可能になった。宇宙探査機は、太陽系内の遠くの惑星から詳細な写真やデータを送ってくる。アトムスマッシャーと呼ばれる巨大な加速器によって、初期宇宙の状態を再現したり、原子内部の働きを調べることができる。

[4-10]

我々が宇宙について知っていると信じていることのほとんどは、これらの観測装置を使って見ることのできる時空のごく薄い断面から推測したことである。星についての知識は、星から我々に届く光を解析した結果に基づいている。地球の内部についての知識は、地球の表面や表面に近い部分の観測や、表面より上を回っている衛星からの観測に基づいている。太陽や惑星の進化についての知識は、少数の星のサンプルからくる放射や惑星の外面的な特徴や物質のサンプル(例えば岩、隕石、月や、火星を削岩して集めたもの)を調べたり、それがどのようにして現在の形になったのか想像したりしてわかったことなのである。

15th - 21st in chap 2

[2-15]
数学的な命題の操作

抽象化をして、それらに対する記号的表現を選んだら、その記号を正確に定義された規則に従ってさまざまに結合することを繰り返す。それは決まった目標に向かって行われることもある。試しにやってみて、何が起こるか見てみる時もある。適切な操作が、構成している単語や記号の直感的な意味と簡単に対応することもある。試行錯誤を繰り返してようやく有用な操作が見つかることもある。

[2-16]
概して、記号の列はつなげられて、概念や命題を表す内容を記述することになる。例えば、正方形の面積を表すAという記号と、正方形の辺の長さを表すsという記号を一緒に使って、A = s^2 という命題ができる。この等式は面積が辺の長さとどう関係しているかということと、辺以外のものには関係していないことを記述している。すると、通常の代数の規則を使うと、もし正方形の辺の長さが2倍になったら正方形の面積は4倍になるということがわかる。もっと一般的に、この知識によって、辺の長さがどう変わっても面積がどうなるかがわかるし、逆に面積が変わると辺の長さがどう変わるかもわかる。

[2-17]
抽象的な関係についての数学的な知見は数千年にわたって広がってきた。それは現在でも拡大し続けており、時には修正されることもある。数学は、物を数えたり測ったりという具体的な経験に根ざしているが、抽象化を何度もくぐり抜け、現在では物理的な実証よりも内的な論理にその基礎を置いている。そしてある意味で、抽象化されたものの操作はゲームに似ている。基本的な規則から始まり、その規則にしたがって動く。その動きには新しい規則を追加したり、古い規則の間の関係を見つけることも含まれる。新しい考えが有効かどうかは、その規則に矛盾がなく、他の規則と論理的に関係しているかどうかで判定される。

[2-18]
数学の応用

数学的な方法においては、物事のある種のモデルをつくり、そこから元の物事についての知見を得ることがある。抽象的な数学の内容はモデル化された物事についての有用な事実を含んでいることもあるし、そうでないこともある。例えば、カップ2杯分の水とカップ3杯分の水を合わせるとき、合計を求めるために抽象的な2+3=5という計算を使ったとすれば、カップ5杯分の水という正しい答えが得られる。しかし、カップ2杯分の砂糖とカップ3杯分の紅茶を合わせると、実際には4杯とちょっとの非常に甘い紅茶ができるのだから、同じように操作をして5という答えを出しても間違いである。単純に体積を足すのは1つ目の状況では正しいが、2つ目に対しては正しくない。2つの状況の間の物理的な違いを知って初めて結果の予測が可能になるのである。だから、数学をうまく使って結果を正しく解釈するためには、単に抽象的な操作が数学的に正しいかどうかだけを考えているのではだめで、表現したい物事の性質がどれだけ抽象化されたものに対応しているかも考慮に入れる必要がある。

[2-19]
数学によって導かれた結果が適切かどうかは、常識的に考えれば十分な場合もある。例えば、現在身長が5フィート5インチ(訳注:約165cm)ある少女が、現在一年に1インチ(約2.5cm)の割合で背が伸びているとすると、20年後の身長はどうなるかを考える。常識で考えれば、単純に毎年1インチと20年を掛け算した分背が伸びて7フィート1インチ(約216cm)になるという計算はほとんどありえないので却下される。代わりに、極限値に近づいてゆく曲線のような、他の数学的なモデルを考えるだろう。しかし、数学によって導かれた結果がどのくらい適切かを知るのが難しい場合もある。例えば、株式市場の株価や地震を予測したりしようとする場合である。

[2-20]
数学的な推論を一通りやっただけでは満足行く結果が得られないことはよくある。そこで問題を数学的に表現する方法を変えてみたり、数学的な操作を変えてみることになる。実際には、それぞれの手順の間で右往左往することもあり、どうやって進んだら良いかという規則はない。時々しか進まなかったり、間違った結果が出て失敗に終わることもある。この過程は十分に良い結果が出るまで続く。

[2-21]
しかし、どれだけ正確な結果が出れば十分に良いのだろうか?その答えは、結果がどう使われるかや、誤差によってどんな影響が出るか、もっと正確なモデル化や計算をするためのコストがどれだけかかるかによる。例えば、ケーキを作るときに砂糖の量を1%間違えても問題はないが、宇宙探査機の軌道の計算を1%間違えると悲惨なことになる。しかし、『十分に良い』結果を求めるという問題は非常に重要であって、結果がどのくらいはずれるかや、必要な正確さを得るためにはどのくらいの計算量が必要かといったことを見積もるための数学的な方法が発展してきたのである。

6th - 8th in chap 4

[4-6]
我々の宇宙全体は、100億年以上前にひとつの高温で密度が高く混沌とした集まりが爆発的に広がってできたと考えられている。もっとも軽い部類の元素(水素とヘリウム)の雲が集まって星ができ、落下するエネルギーによって高温になり、その中の非常に熱い部分で、軽い元素が融合して重い元素になる核融合が始まった。やがて、多くの星は爆発して、新しい元素の雲ができた。この雲から他の星や、おそらくその星の周りを回る惑星も凝縮したのである。星形成の過程は続く。星は数十億年かけて形成され、やがて消えてゆき、物質やエネルギーは形を変えてゆく。

[4-7]
我々の太陽系は、50億年ほど前に星が爆発して残されたガスと塵の大きな雲が集まってできた。地球上や地球の中にあるものは生物も含めて、この物質からできている。地球や他の惑星が形成されるされるとき、より重い元素は惑星の中心部に落ちていった。太陽に近い惑星(水星、金星、地球、火星)ではもっとも軽い部類の元素はほとんど吹き飛ばされたり、できたばかりの太陽の放射によって蒸発した。それより遠くにある惑星(木星土星天王星海王星冥王星)では、軽い元素も気体状態の大気や凍った固体状態の地層として惑星の周りに存在している。

(訳者注:原文が古いので冥王星が惑星に数えられています)

[4-8]
太陽系には大きさも成分も表面の様子も違う全部で9個の惑星があり、太陽の周りの円に近い軌道を回っている。それぞれの惑星の周りにはさまざまな衛星と、(惑星によっては)岩と氷の塵でできた平らな輪や、(地球の場合は)月と人工衛星が軌道を回っている。多くの惑星やその衛星では、その特徴から地球と似たような活動(地震、溶岩流や地表の侵食)が起きていることがわかる。

太陽の周りを回っている天体の中には氷や岩でできたものも数多くある。その中には地球が太陽を1年に一周する軌道の中で接近するものもあり、地球の大気に突入するときに摩擦で光を出したりバラバラになったりする。中には地表に衝突するものもある。他には、中心が太陽から外れた細長い軌道を持つ氷の混ざった岩の塊でできた天体もある。それは周期的に太陽に非常に接近し、そこで太陽の放射によって表面の物質が蒸発させられ、長く輝く尾を引き、我々には彗星として見えるのである。