4th - 5th par in chap 3

[3-4]
TECHNOLOGY AND SCIENCE
Technology Draws on Science and Contributes to It

技術と科学
技術は科学を利用し科学に貢献する

In earlier times, technology grew out of personal experience with the properties of things and with the techniques for manipulating them, out of know-how handed down from experts to apprentices over many generations. The know-how handed down today is not only the craft of single practitioners but also a vast literature of words, numbers, and pictures that describe and give directions. But just as important as accumulated practical knowledge is the contribution to technology that comes from understanding the principles that underlie how things behave―that is, from scientific understanding.

昔は、物事の性質や物事を操作する技能についての個人的な経験や、職人から見習いへと何代も伝えられてきた方法から技術が生まれてきた。近年伝えられる方法は、職人個人個人の技能だけではなく、指示を与える言葉や数や図で書かれた膨大な文献にもある。しかし、蓄積された実践的な知識と同じ程度に、物のふるまいの根底にある原理を理解(つまり科学的に理解)することによって培われる技術への貢献は重要である。

[3-5]

Engineering, the systematic application of scientific knowledge in developing and applying technology, has grown from a craft to become a science in itself. Scientific knowledge provides a means of estimating what the behavior of things will be even before we make them or observe them. Moreover, science often suggests new kinds of behavior that had not even been imagined before, and so leads to new technologies. Engineers use knowledge of science and technology, together with strategies of design, to solve practical problems.

工学は、技術を開発し使うための科学的な知識の体系的な応用であり、職人の技能だったものからそれ自体が科学になるまで成長してきた。科学的な知識によって、実際に物を作ったり観察する前にその物のふるまいを予測する手段が得られる。それだけではなく、科学によってそれまで考えられなかった新しい物のふるまいが示唆され、それによって新たな技術が生まれることもしばしばある。技術者は科学と技術の知識を用い、設計の工夫と合わせて現実の問題を解くのである。

21st - 27th par in chap 4

[4-21]
地球を形作る働き
PROCESSES THAT SHAPE THE EARTH

地球の内部は高温であり、その上にある層の重さで高い圧力がかかっており、岩でできた地殻よりも密度が高い。地球の中の力によって地球の表面には絶え間なく変化が起こっている。地殻(大陸と海盆が含まれる)は固体であり、いくつかの部分に分かれて、高温でほとんど融解した層の上に乗っている。それぞれの地殻プレートはこの柔らかい層の上を年に1インチと言った速度で動いており、互いに衝突する場所もあれば、離れてゆく場所もある。地殻プレートが衝突する場所では、すれ違ったり、地面が押しつけられて折り曲がりやがて山脈(ロッキー山脈やヒマラヤなど)になったりする。一方のプレートがもう片方のプレートの下に沈み込むこともある。衝突しているプレートの境界にそって、地震が起こって地面が壊れたり、火山の噴火が起こって下方から溶岩を吹き出し、山を盛り上げたりする。

The interior of the earth is hot, under high pressure from the weight of overlying layers, and more dense than its rocky crust. Forces within the earth cause continual changes on its surface. The solid crust of the earth?including both the continents and ocean basins?consists of separate sections that overlie a hot, almost molten layer. The separate crustal plates move on this softer layer?as much as an inch or more per year?colliding in some places, pulling apart in others. Where the crustal plates collide, they may scrape sideways, or compress the land into folds that eventually become mountain ranges (such as the Rocky Mountains and the Himalayas); or one plate may slide under the other and sink deeper into the earth. Along the boundaries between colliding plates, earthquakes shake and break the surface, and volcanic eruptions release molten rock from below, also building up mountains.

[4-22]

大陸の下でプレートが分離しているところでは、地面は沈み非常に大きな谷ができる。分離が海盆の下のプレートの薄い部分で起こると、溶岩が湧き上がりとても広い大洋底ができる。このような海の真ん中でのプレートの分離に沿った火山活動によって海中の山ができ、地上にできる山よりずっと高くなることもある。水面から突き出て、海の真ん中に(ハワイのように)島ができることもある。

Where plates separate under continents, the land sinks to form ever-widening valleys. When separation occurs in the thin regions of plates that underlie ocean basins, molten rock wells up to create ever-wider ocean floors. Volcanic activity along these mid-ocean separations may build up undersea mountains that are far higher than those rising from the land surface?sometimes thrusting above the water's surface to create mid-ocean islands (such as Hawaii).

[4-23]

波や、風や、水や氷によって地表の形が変わり、様々に異なった地形が生まれる。川や氷河の氷は、土壌を運び、岩を砕き、やがて物質を堆積させたり海に溶かしたりする。こういった効果には素早く起こるものもあれば、ゆっくり起こるものもある。たとえば、現在の地球の表面の特徴の多くは、百万年以上にわたる周期で北半球を前後してきた氷河の動きに由来している。対照的に、海岸線は一晩で変わることもある。波が海岸を浸食したり、風がもろい表面の物質を運び去って他の所に届けたりする。

Waves, wind, water, and ice sculpt the earth's surface to produce distinctive landforms. Rivers and glacial ice carry off soil and break down rock, eventually depositing the material in sediments or carrying it in solution to the sea. Some of these effects occur rapidly and others very slowly. For instance, many of the features of the earth's surface today can be traced to the motion of glaciers back and forth across much of the northern hemisphere over a period lasting more than
a million years. By contrast, the shoreline can change almost overnight?as waves erode the shores, and wind carries off loose surface material and deposits it elsewhere.

[4-24]

炭素や酸素、窒素、硫黄といった元素は、その場所や化合の仕方を変えながら、陸地や海や大気の中をゆっくりと循環している。鉱物は地表や海の中や地殻の下にある高温高圧の層の中で形成され、水に溶け、また形成される。砂の堆積物や死んだ生物の殻は徐々に埋まり、溶けた鉱物によって固められ、やがて再び固い岩になる。十分深くに埋められた堆積岩は圧力や熱で変成し、融けたり再結晶したりして異なる種類の岩になる。

Elements such as carbon, oxygen, nitrogen, and sulfur cycle slowly through the land, oceans, and atmosphere, changing their locations and chemical combinations. Minerals are made, dissolved, and remade?on the earth's surface, in the oceans, and in the hot, high-pressure layers beneath the crust. Sediments of sand and shells of dead organisms are gradually buried, cemented together by dissolved minerals, and eventually turned into solid rock again. Sedimentary rock buried deep enough may be changed by pressure and heat, perhaps melting and recrystallizing into different kinds of rock.

[4-25]

地中に埋まった岩の層は再び地表に押し上げられて、最終的に山になることもある。幾千もの堆積岩の層は地球の長い歴史と生物の形態の変化の長い歴史の証拠である。過去の生物の死骸が積み重なった岩の層の中で見つかることもある。

Buried rock layers may be forced up again to become land surface and eventually even mountains. Thousands upon thousands of layers of sedimentary rock testify to the long history of the earth, and to the long history of changing life forms whose remains are found in successive layers of rock.

[4-26]

植物や動物によって地形はさまざまに変化させられる。土壌の組成、組織や肥沃さ、侵食に対する強さは、有機物を土壌に加える植物の根や植物の残骸やバクテリアや菌類、土壌を耕す昆虫や虫や穴を掘る動物によって大きく影響される。生命の存在によって、地球の大気も変化してきた。植物は二酸化炭素を空気中から取り除き、その炭素を使って糖を合成し、酸素を放出する。この過程によって現在の空気にある酸素ができたのである。

Plants and animals reshape the landscape in many ways. The composition and texture of the soil, and consequently its fertility and resistance to erosion, are greatly influenced by plant roots and debris, bacteria, and fungi that add organic material to the soil, and by insects, worms, and burrowing animals that break it up. The presence of life has also altered the earth's atmosphere. Plants remove carbon dioxide from the air, use the carbon for synthesizing sugars, and release oxygen. This process is responsible for the oxygen in our air today.

[4-27]

地形や気候、地表にある資源によって人々がどこでどのように暮らすか、人間の歴史がどのように展開するかが影響される。同時に、人間の活動は地球の地面や海や大気を変化させてきた。たとえば、地表の森林面積の減少によって大気中の二酸化炭素が劇的に増加し、さらに地球の大気や表面の平均温度が上昇した。人間活動が排出する煙や他の物質が大気と化学的に相互作用して、スモッグや酸性雨などの好ましくない影響を生み出す。大気を通過してくる有害な紫外線の増加もおそらくその影響の一つである。集約的な農業によって植物のあった土地や表土が奪われ、ほとんど砂漠のようになってしまった部分も世界にはある。

The landforms, climate, and resources of the earth's surface affect where and how people live and how human history has unfolded. At the same time, human activities have changed the earth's land surface, oceans, and atmosphere. For instance, reducing the amount of forest cover on the earth's surface has led to a dramatic increase in atmospheric carbon dioxide, which in turn may be leading to increased average temperature of the earth's atmosphere and surface. Smoke and other substances from human activity interact chemically with the atmosphere and produce undesirable effects such as smog, acid rain, and perhaps an increase in the damaging ultraviolet radiation that penetrates the atmosphere. Intensive farming has stripped land of vegetation and topsoil, creating virtual deserts in some parts of the world.

45th - 47th par in chap 4

[4-45]

分子の中の異なる原子配置に関連して、異なるエネルギー準位が現れる。原子の配置が変化するとき、さらにエネルギーが必要な場合もあれば、エネルギーを放出する場合もある。たとえば、炭を燃やし始めるときは(炭素原子の一部を蒸発させて他の炭の中の原子から切り離すために)熱を加えなくてはならない。しかし、その炭素原子と酸素分子が結びついて低いエネルギーをもつ二酸化炭素の原子配置になるとき、より多くのエネルギーが熱や光として放出される。また、葉緑素の分子は太陽光によって高いエネルギー準位に励起することができる。励起した葉緑素の分子は次に二酸化炭素と水の分子を励起させ化合できるようにし、いくつかのステップを通って高いエネルギーをもつ糖(と再生された酸素)の分子配置ができる。その後、糖の分子は酸素と相互作用して再び二酸化炭素と水になり、太陽光からのエネルギーをほかの分子に伝えることもある。

[4-46]

分子のレベルやもっと小さいレベルでは、エネルギーは物質と同じように離散的な単位で存在することが明らかになる。原子や分子のエネルギーがある値からほかの値に変わるとき、ある決まった飛び飛びの値で起こり、その間の値をとることは不可能である。この量子効果によって、原子のスケールの現象は我々の身近なものとは非常に異なったものになる。電磁波の放射が原子にぶつかると、原子が高いエネルギー準位に飛ぶためにちょうど必要なエネルギーを放射が与えるときにだけ、原子が放射によってその準位に励起される。その逆も起こる。原子のエネルギー準位が飛んで下がるとき、放射エネルギーの離散的な量(量子)が生まれる。物質から光が発せられたり物質に光が吸収されるとき、その光を物質の特定に使うことができる。これはその物質が実験室にあるのか遠く離れた星の表面にあるのかにかかわらず可能である。

[4-47]

原子核の中で起こる反応には、原子の外側の電子構造の間で起こる反応(つまり化学反応)と比べてずっと大きなエネルギーが必要である。ウランやプルトニウムのような重原子核が中くらいの原子に分裂するときや、水素やヘリウムのような非常に軽い原子核が結びついて重い原子になるとき、大量のエネルギーが放射や高速で動く粒子として放出される。重い原子核核分裂は自発的に起こるものもあり、さらに中性子を生成してほかの原子核の分裂を引き起こすこともある。この反応が続くことによって連鎖反応が起こるのである。これに対して、核融合はそれぞれの原子核が(電気力による反発に打ち勝つほどに)非常に速い速度で衝突した時にだけ起こる。このような衝突は、星の内部や核分裂による爆発が起きた時の非常な高温な場所で起こる。

40th - 44th par in chap 4

[4-40]

エネルギーの形態は様々に違った方法で記述される。音のエネルギーは主に分子が規則的に行ったり来たりする運動である。熱のエネルギーは分子の乱雑な運動である。重力のエネルギーは互いに引き合う物体の間の空間に存在する。力学的なひずみに蓄えられたエネルギーには互いに引き合う電荷の間の空間が関係している。様々なエネルギーの形態は非常に異なって見えるが、それぞれのエネルギーは測定可能であり、ある形態のエネルギーがどれくらい他の形態になるかという経過を追うことができる。ある場所や形態にあったエネルギーが減っていたら、ほかの場所や形態のエネルギーは等しい量だけ増えている。だから、ある系のエネルギーが境界を越えて漏れこんだり漏れ出たりしないなら、系にどんな緩やかな変化や急激な変化が起きていても、その系の中にあるすべての形態の合計エネルギーは変化しない。

[4-41]

しかし、エネルギーは系の境界を越えて漏れる傾向がある。特に、エネルギーを変換すると、普通はエネルギーの一部は熱になり、放射や伝導によって外に漏れてゆく。これはエンジンや、導線や、熱水を溜めたタンクや、人間の体や、ステレオなどで起こっていることである。さらに、熱が伝導や放射で液体に伝わると流れが起こり、通常は熱の移動が促進される。熱を伝導しにくかったり放射しにくかったりする物質を使えば熱の損失を減らすことはできるが、完全になくすことはできない。

[4-42]

したがって、変換の際に使用可能なエネルギーの総量はほとんどいつも減少する。例えば、ガソリンの分子に蓄えられたエネルギーは、車が動いているときに使われるが、摩擦や排気によって車や道や空気を暖める。しかし、そのようにエネルギーが拡散するのを防いでも、エネルギーは均等に分配される傾向があり、そうなると我々が利用することはできない。これは、エネルギーの変換が可能なのは拡散しているときではなくひとつの場所に集まっているとき(例えば、落下する水や、高いエネルギーを持った燃料や食物の分子や、不安定な原子核や、非常に高温な太陽からの放射など)だけだからである。エネルギーが熱に変換され全体に拡散してしまうと、その熱エネルギーがさらに変換することは起こりにくい。

[4-43]

熱が常に高温な場所から低温な場所へと拡散しようとする理由は確率の問題である。物質の中の熱のエネルギーは、原子や分子が絶え間なく衝突する無秩序な運動からなる。物質の中のある領域にある非常に多くの数の原子や分子は、隣り合う領域の原子や分子と繰り返し乱雑に衝突するので、原子や分子の乱雑な運動エネルギーが2つの領域でほぼ同じになる場合は、どちらかの領域にエネルギーが集中する場合よりずっと多い。だから熱エネルギーが全体で無秩序に広がることのほうが、ある場所に熱エネルギーが秩序正しく集中することよりずっと起こりやすい。もっと一般的に、どんな原子や分子の相互作用があっても、統計的に起こりやすいのは初めの状態よりも無秩序な状態になる場合である。

[4-44]

しかし、ある系が秩序を増すことは、その系につながった別の系がより秩序を失う場合に限っては全く可能である。たとえば人間の組織の細胞は、複雑な分子や体の組織を作ったりして常に秩序を増やそうと忙しい。しかしこれは我々の周りの無秩序さをより増やす引き換えに起きている。たとえば食べた食物の分子構造を破壊したり、周囲の空間を温めたりしている。大事なのは、無秩序さの合計は常に増える傾向にあるということである。

33rd - 38th par in chap 4

[4-33]

すべての物質は、温度や圧力によって様々に異なる状態になる。ちょうど水が、氷や水や水蒸気になるように、少しの例外を除いて、ほとんどの物質は固体、液体、気体になることができる。ある物体を十分に冷やすと、その物体の原子や分子はそれぞれの場所に何かしら規則正しい形で閉じ込められ、固体となる。温度が高くなることは、その物質の原子の平均的な運動エネルギーが高くなることである。だから温度が高くなると、原子や分子は激しく動くようになり、普通はそれぞれ少し離れた位置で運動するようになる。つまりその物質は膨張する。もっと温度が高くなると、原子や分子はもっと激しく動くようになり、全体としては緩くまとまりながらも、互いに決まった場所にはいられなくなり、液体になる。さらにもっと温度が高くなると、原子や分子の運動が激しくなり、それぞれの間の引力に打ち勝って自由に動き回るようになり、気体になる。このときそれぞれの原子や分子はたがいにごく接近した時にだけ相互作用(通常はたがいに反発)する。

[4-34]

もっとずっと温度が高くなると、やがて衝突のエネルギーによって分子がバラバラになって原子になり、さらに原子から電子が叩き飛ばされイオンになってしまう。極めて高い温度では、衝突の際に原子核同士が近づき、強い核力の作用が現れるようになり、核反応を起こすこともある。

[4-35]

原子の中で一番外側にある電子の配置によって、その原子がどのように他の原子と結合して物質をつくるかが決まる。電子が片方の原子からもう片方の原子に移って結合ができることもあるし、電子が原子同士で共有されて結合ができることもある。どのような種類の結合があるかによって、原子同士が雑然と混ざり合ってつながることもあれば、原子の数と配置が揃った特徴的な分子になることもあれば、結晶配列を対称に繰り返すパターンを持つこともある。分子構造は、(酸素分子のように)同じ原子の対のように単純なこともあるし、(たんぱく質やDNAの分子のように)数千個の原子が折れ曲がったり交差して鎖のようにつながった複雑なものになることもある。こうした複雑な分子の正確な形は、その分子がほかの分子とどのように相互作用するかを決める重大な要素になる。結晶配列は、全体が規則正しく並んでいる場合もあるし、組成や構造が不規則な部分が広がっている場合もある。組成や構造が少し違っただけでも、その物質は非常に違った性質を持つこともある。

[4-36]

原子の中の電子配置によって、その原子同士にどんな反応が起こるかや、その反応が起こるためにどれだけのエネルギーが必要か、反応が起きた時にどれだけのエネルギーが放出されるかが決まる。原子が大きな数集まったときには、反応が起きる速さは、反応する原子が互いにどれくらいの頻度で衝突するかによって変わる。だから反応する物質の濃度や、反応する原子がどれくらいの速さで動いているか(つまり温度)によって反応速度は変わる。他の原子や分子が少しの濃度でもあって、反応する物質とつながって互いに結合しやすくさせたり、反応が起こるためにちょうど必要な量のエネルギーを与える励起状態を持っていたりすると、反応速度は劇的に影響を受ける。特に、水に溶けた物質の反応は水の酸性度によって大きく影響される。

[4-37]

身近な物質を作る元素にはそれぞれ少数の自然に存在する同位体がある。どの元素も、ほとんどの他のあり得る同位体は不安定で、もし偶然不安定な同位体ができても、そのうち崩壊して他の元素の同位体になってしまう(それがまた不安定ということもある)。崩壊が起こるときには粒子が放出されたり、原子核から放射線が出ることもある。これが放射能である。地球にある物質の中では、恒星の中で重い元素ができたときから残っている放射性同位体が小さな割合で混ざっている。放射性同位体の中には、もっと最近に宇宙や他の同位体原子核崩壊から来た核子が衝突してできたものもある。普通の環境にも、これらの同位体が一緒になって出す低いレベルの背景放射がある。

[4-38]

不安定な原子核がいつ崩壊するのかを予言することはできない。我々が断定できるのは、同じ種類の原子核の集まりの中で決まった期間にどれだけの割合が崩壊するのかということだけである。不安定な同位体半減期とは、サンプルの中の半分の原子核が崩壊するのにかかる時間である。原子核の様々な種類によって、半減期は百万分の一秒から数百万年に及ぶ。特定の同位体半減期は一定で、圧力や温度などの条件には影響されない。だから、すでに崩壊した原子核の割合を測定することで、放射性物質を使って時間経過を見積もることができる。例えば、岩のサンプルの中にあって、不安定だが長い半減期を持つ同位体の割合を測ることで、その岩ができたのがどれくらい前なのかを見積もることができる。

18th - 20th par in chap 4

[4-18]

地球には人間の生活にとても重要な多くの資源がある。その資源の中にはすでに再生可能なものもあるが、大きなコストをかけないと再生できないものもあり、まったく再生可能でないものもある。地球はとても多くの種類の鉱物を含んでおり、鉱物の性質はその鉱物がどのように形成されたかやどんな成分を含んでいるかによって変わる。鉱物の中には非常に希少なものもあれば、ほとんど限りなく存在するものもある。しかし、その量と同時に、資源を環境から取り出すときの難しさも重要である。鉄や、アルミニウム、マグネシウム、銅などの欠かせない工業原料が様々な鉱物から採れる。それらが最もよく採れる場所は枯渇しつつあり、こういった鉱物を得るのはますます難しく、また費用も高くなっている。

[4-19]

淡水は日々の生活や工業生産に欠かせない資源である。われわれは水を川、湖や、地表の下を動く地下水から得る。地下水からは多くの人が多くの水を得ているが、現在使われている量が蓄積するのには長い時間がかかる。非常に速い速度で使い果たされようとしている場所もある。さらに、多くの淡水源は汚染され、使えなくなっている。

[4-20]

風や潮や太陽放射はずっと利用可能であり、しかもエネルギー源として使うことができる。原理的には、海や大気、表土、海洋生物、樹木は再生可能な資源である。しかし、汚染された空気や水を浄化したり、破壊された森林や漁場を回復させたり、十分に管理されていない農業地域の侵食された土壌を回復させたり保護したりするのには非常に大きな費用がかかる。海や大気は非常に広大で、多くの物質を自然と吸収し再循環させる能力を持っているが、それにも限界はある。吸収する能力をこえた変化が起こると、生態系も大きく変わり、それは人間の活動にも悪影響を及ぼす可能性がある。

16th - 17th par in chap 4

[4-16]

大気の内外への水の循環は、気候のパターンを決めるのに重要な役割を果たす。水は地表から蒸発し、上昇して冷却され、凝縮して雲になり、雪や雨になって再び地表に降り注ぎ、やがて川や湖や浸透性の岩に集まる。地表には厚い氷で覆われた場所も広くあり(例えば南極)、その氷は大気や海と相互作用し、気候に全地球的な影響を及ぼす。

[4-17]

地球の気候はこれまで大きく変動してきたし、これからも変動し続けると考えられている。気候変動は、長期的には氷河の前進や後退といった地質学的転換や、短期的には連続する大規模な火山噴火などの効果で起こる。しかし、大気の成分が比較的少し変わったり、海水の温度が少し変わったりするだけでも、それが十分長く続くと気候に広範囲の影響を引き起こす可能性がある。