45th - 47th par in chap 4

[4-45]

分子の中の異なる原子配置に関連して、異なるエネルギー準位が現れる。原子の配置が変化するとき、さらにエネルギーが必要な場合もあれば、エネルギーを放出する場合もある。たとえば、炭を燃やし始めるときは(炭素原子の一部を蒸発させて他の炭の中の原子から切り離すために)熱を加えなくてはならない。しかし、その炭素原子と酸素分子が結びついて低いエネルギーをもつ二酸化炭素の原子配置になるとき、より多くのエネルギーが熱や光として放出される。また、葉緑素の分子は太陽光によって高いエネルギー準位に励起することができる。励起した葉緑素の分子は次に二酸化炭素と水の分子を励起させ化合できるようにし、いくつかのステップを通って高いエネルギーをもつ糖(と再生された酸素)の分子配置ができる。その後、糖の分子は酸素と相互作用して再び二酸化炭素と水になり、太陽光からのエネルギーをほかの分子に伝えることもある。

[4-46]

分子のレベルやもっと小さいレベルでは、エネルギーは物質と同じように離散的な単位で存在することが明らかになる。原子や分子のエネルギーがある値からほかの値に変わるとき、ある決まった飛び飛びの値で起こり、その間の値をとることは不可能である。この量子効果によって、原子のスケールの現象は我々の身近なものとは非常に異なったものになる。電磁波の放射が原子にぶつかると、原子が高いエネルギー準位に飛ぶためにちょうど必要なエネルギーを放射が与えるときにだけ、原子が放射によってその準位に励起される。その逆も起こる。原子のエネルギー準位が飛んで下がるとき、放射エネルギーの離散的な量(量子)が生まれる。物質から光が発せられたり物質に光が吸収されるとき、その光を物質の特定に使うことができる。これはその物質が実験室にあるのか遠く離れた星の表面にあるのかにかかわらず可能である。

[4-47]

原子核の中で起こる反応には、原子の外側の電子構造の間で起こる反応(つまり化学反応)と比べてずっと大きなエネルギーが必要である。ウランやプルトニウムのような重原子核が中くらいの原子に分裂するときや、水素やヘリウムのような非常に軽い原子核が結びついて重い原子になるとき、大量のエネルギーが放射や高速で動く粒子として放出される。重い原子核核分裂は自発的に起こるものもあり、さらに中性子を生成してほかの原子核の分裂を引き起こすこともある。この反応が続くことによって連鎖反応が起こるのである。これに対して、核融合はそれぞれの原子核が(電気力による反発に打ち勝つほどに)非常に速い速度で衝突した時にだけ起こる。このような衝突は、星の内部や核分裂による爆発が起きた時の非常な高温な場所で起こる。